明眸の春

眠れないのでこうしてまた眠気を遠ざけるようなことをしている。


四月はもうアホバカくそ忙し…いということも実はなかった。あ、でもちょっと忙しかった。心に余裕を持たせるために、見てもらうタイプのわたしをネットの海から消した。心に余裕がなくて切羽詰まってるときこそ承認欲求の芽がぶくぶく膨らんで花咲かせてしまうのはあんまり私にとっていいことじゃないからだ。

個性を発揮することなく受け身であるこの一ヶ月は気持ちがとても楽だったし、自分のそういう部分を一番自分が認めてあげられる月になった。なんと部屋が綺麗になったし自炊もちゃんとしていたので少しお金が貯まった。そんなわけで希死念慮の代名詞、春とかいう苦手な季節もなんとかポジティブに過ごすことができた。


好きだった音楽家、この前の夏は元気に笑っていてまたねと言ったあの人、馴染みのあった漫画家。春の訪れは突然、私に何かを与えてくれていた人たちを遠いところに攫っていってしまった。綿毛かよ。

私はまだ春風に吹き飛ばされるには早いなあと思うけど、いつ連れて行かれるかわからないので今のうちにやれることをやりたいと思った。いつか、という曖昧に遠ざけていた季節も掴んで引き寄せた。だから、いつか、と思って渋っていた隣の県へのプチ旅行をさ。あと、私の人生のなかで一番やらねば後悔しそうな夢みたいなものにもやっと着手した。今年の目標にしていたことも、少しずつ手をつけている。偉いね。


前に進めているような気がする春だ。文字通り、実りの秋にそなえて、種を蒔く。そんな季節。